桔梗はキキョウ科キキョウ属の一属一種です。
東アジア原産で、日本では長野、菅平高原などに自生していますが、近年絶滅危惧種に指定されるほど減少しているため貴重な植物といえます。
ゴボウのような桔梗の根は、韓国では「トラジ」と呼ばれる食材として、キムチやナムルに使われています。
またつぼみが風船のように膨らむために、英語では「バルーンフラワー」と呼ばれています。
ここでは桔梗の育て方と魅力についてご紹介します。
桔梗の育て方
桔梗は宿根草で、開花時期は6月から10月ころに紫、白、ピンクの花を咲かせます。
草丈は15センチから150センチで、耐寒性も耐暑性もあるため、私のような初心者でも育てやすい植物です。
水はけのよい土と風通しがよく日当たりの良い場所を好むので、花壇に地植えする場合は、15センチから30センチ程度の盛り土をして植えた方がよいでしょう。
鉢植えの場合も、水はけのよい土に植えるとよく育ちます。
小粒の赤玉土7、腐葉土3の割合で混ぜた土、または花と野菜の土でも大丈夫です。
桔梗の水やり、肥料
鉢植えの場合は、表面の土が乾いたらたっぷりと水やり、花壇の場合は、真夏に晴天が続いてしおれて元気がなくなる以外は必要ないです。
肥料は、直接根に肥料が触れないように、植え替えの際に緩効性化成肥料をあたえます。
鉢植えも花壇植えも同様に、3月から5月の成長期は1か月に1回程度、油かすと骨粉が等量配合されたものを適量、6月から9月の開花期は、チッソリン酸カリが等量の液体肥料2000倍の水溶液を、1か月に2~3回です。
桔梗の病気と害虫
桔梗がかかりやすい病気は、立枯病や茎腐(くきくされ)病などで、夏に水はけと風通しが悪く過湿になると発生しやすいので、盛り土して植え付ける、水はけのよい土に植え付ける、剪定などをして風通しを良くすることで防げます。
桔梗には、春から初秋にクロウリハムシ、ヨトウムシ、アブラムシなどが発生するので、見つけ次第手で捕るようにしましょう。
桔梗の増やし方
桔梗は2月から3月、芽が出る直前が植え替えの時期です。
桔梗はよく育ち、鉢植えにするとすぐに根詰まりを起こすので、毎年植え替えが必要です。
花壇植えの場合は、3年に1度は掘り上げて株分けして植え直すとよいでしょう。
桔梗は2月から3月が種まきの時期でもあり、株分け、5月か6月に出た新芽の先端を切って挿し芽をして増やすことが出来ます。
その他の注意点
桔梗は花が咲き終わった後、半分ほどの長さに切ると、脇芽が伸びてきます(切り戻しですね)。
そして株のバランスが良くなって秋になると再び開花します。
尚、桔梗の茎を切ったときに出る白い液は、皮膚につくとかぶれることがあるので注意が必要です。
また冬になると地上部は枯れますが、根は生きているので表面が乾いたら水やりをすると春には再び芽が出てきます。
桔梗は日本人に馴染んだ縁起が良い花
桔梗は家紋として用いられるほど、古くから日本人にとってはなじみのある草花です。
桔梗の花言葉は「永遠の愛」「変わらぬ愛」「気品」「誠実」だということで、秋の七草としても有名です。
桔梗の名前のもとは、漢名の桔梗の読みである「キチコウ」がなまって「キキョウ」になったということで、俳句では今でも「きちこう」と詠まれることもあるそうです。
桔梗の家紋
万葉集では、秋の七草と歌われている「朝貌の花」がじつは桔梗のことだとか、戦国時代には桔梗の字を「更に吉(さらによし)」との意味を含めて縁起がいいと武将たちの家紋や旗印として用いられました。
もちろん一番有名なのは、明智光秀の家紋、旗印としての「水色桔梗」です。
桔梗の寺が多数
京都府亀岡市は、光秀の亀山城があったところですが、ここにある谷性寺(こくしょうじ)には境内に光秀の首塚が存在する桔梗寺として有名で、寺の門前にも5万株の桔梗が植えられ「亀岡ききょうの里」がオープンしたそうです。
ほかにも桔梗の寺としては、京都市内の廬山寺、大徳寺塔頭の芳春院、浄瑠璃寺、東福寺天得院などもあるのですね。
また、土岐は言わずもがなですが、塩尻、多治見、福知山、一宮、掛川、名張、沼田、伊勢原、大野城など、市の花として桔梗を指定している市も多く、いかに日本では桔梗の人気があるかわかるというものです。
江戸城のもとを築いた太田道灌も「太田桔梗」であるために、現在も元江戸城の皇居、内桜田門の屋根瓦には「太田桔梗」が使われていて「桔梗門」の別名もあるそうです。
私はやはり先祖が明智光秀という幕末の坂本龍馬の家紋の「組合角に桔梗」が印象的です。
私の愛読書である「竜馬がゆく」には、龍馬を想う江戸の桶町千葉道場の千葉さな子さんが、庭に桔梗をこっそりと植えて龍馬をしのんでいる場面が登場します。
さな子さんは兄の重太郎にたしか「父上の咳の薬になるから」と桔梗を植えたと言い訳していましたが、龍馬から婚約のあかしとして着物の片袖をもらったということです。
それが現在にも伝わっていて、やはり「組合角に桔梗」紋が入っていたような覚えがあります。
薬としても利用
検索してみると、ゴボウみたいな、小さい人参みたいな桔梗の根には「サポニン」が含まれていて、気道の粘膜の分泌をよくする、そしてあわ立ち作用があるので、適量を飲むと痰が出やすくなるということでした。
桔梗は漢方薬として、去痰、鎮咳、排膿の効能があるために、呼吸器疾患に用いられるんですね。
まとめ
キキョウという名前のついた花に「トルコキキョウ」がありますが、原産地がテキサス、リンドウ科で日本では越冬できないので一年草扱いされていて、多年草の桔梗とは別物だそうですので念のため。
歴史や由来も古く日本人になじみのある桔梗、ぜひお家でも育てて花を咲かせてみられてはいかがでしょうか。